マイルの神様

陸上競技を通じて人として成長して行った少年のストーリーです。

陸上競技してましたぁ?

競技場から帰宅した。

 自宅へ帰るといきなりビデオカメラをテレビに接続する妻。

何度も息子の走りを観ている様子を気にしながらも気の無い素振りの私。

「やっぱりスタートが、悪いのよねぇ。」

「ラストの追込みが、出来てないのよねぇ。」

と同意を求めている感を漂わせながらテレビに向かって話している。

(あの〜、陸上競技やってましたか?と言いたい気持ち抑えて聞こえぬ素振りをし続けた。)

夕方、彼が帰って来た。

「ねぇ、ビデオ撮ったの観る?」

「えぇ?いいよ観なくても・・・」

「何でぇ?せっかく撮ったのに!」

「観なくても分かるから、自分が走ったんだから。」

(そうだ!そうだ!走った本人が、一番分かってるさぁ、反省点は。)

「そおおぅ、じゃあ!ビデオカメラ片付けておいてねぇ。お父さん!」

(何で?私・・・・。)

「私、買物に行ってくらから。」

「はい!」(頷く。)

階段を駆け登る音がした。

そうだよ、初めての試合だったから疲れているからビデオを観るより体を休めたいよはずだねぇ。

お疲れさま!と二階を見あげて心の中で言葉を掛けて、カメラを片付け始める私がいた。