マイルの神様

陸上競技を通じて人として成長して行った少年のストーリーです。

高校生編

このブログは、「中学生編」から「高校生編」、「大学生編」と書くつもりでいました。

 

前回のブログで再開するきっかけを述べました。

それを受けて「高校生編」からリスタートさせていただきます。

 

もちろん、いつか「中学生編」も綴りたいと思っています。

 

「高校生編」は、高校の入学説明会から話を初めます。

 

中学生から一歩成長した彼の姿にご期待くださいませ(笑)

 

再開します。

ある理由でブログアップを取りやめておりました。

しかしコロナ禍の中、「インターハイ」が中止となった事で再びアップしょうと心新たにした次第です。

今年のインターハイにかけていた数多くの高校生がいた事でしょう。

 

最高の想い出を作りたくても作れ無かった今は、心の中は無念でいっぱいと思います。

どんな言葉でもあろうとその無念を晴らす事は、出来ないでしょう。

 

今は、再開する事だけが私に彼等に出来るエールと思いました。

 

さぁリスタート!

 

【オフストーリー】息子の相談事

昨夜(2018/08/18)、相談したい事があると言って来た。


ん!ひょっとしたら?

おじいちゃんになるのかなと不安と期待で息子を迎えた。

相談の内容は、会社を退職して教員免許を取るため再び大学に行きたいとの事。

 

理由を問うてみた・・・

この夏休みに母校(高校)の陸上部夏合宿に参加して感じたそうです。

ここに自分を必要としてくれる後輩達が居る、多感期な人間の成長

に指導者として関わりたい気持ちが芽生えたそうです。

大学四年間、授業を終えた後に母校に向かいコーチをしてきた彼。

顧問からも大学在学中に教員免許を取る様に言われていましたが、頑

なに拒んでいたのです。

私は、顧問から「自分の後は、彼に任せたいと思っています。」と言わ

れていましたので何回か本人の希望を確認しましたが、本人にその気は

有りません。

 

この四月に新社会人になったばかりで心配は有ります。

ただ成人した一人の男が、覚悟して臨むなら止めせん。

しかし教員として採用される確証は無いのですから条件をつけました。

初めは、非常勤教員としてスタートする事になる。

だから期間(本採用になるまでの)を決めて臨みなさいと。

その問いを与えて再度、大人として話し合う事としました。

 

嗚呼、在学中に取らしておけば良かったと思うバカな父、ここに在り。

陸上競技してましたぁ?

競技場から帰宅した。

 自宅へ帰るといきなりビデオカメラをテレビに接続する妻。

何度も息子の走りを観ている様子を気にしながらも気の無い素振りの私。

「やっぱりスタートが、悪いのよねぇ。」

「ラストの追込みが、出来てないのよねぇ。」

と同意を求めている感を漂わせながらテレビに向かって話している。

(あの〜、陸上競技やってましたか?と言いたい気持ち抑えて聞こえぬ素振りをし続けた。)

夕方、彼が帰って来た。

「ねぇ、ビデオ撮ったの観る?」

「えぇ?いいよ観なくても・・・」

「何でぇ?せっかく撮ったのに!」

「観なくても分かるから、自分が走ったんだから。」

(そうだ!そうだ!走った本人が、一番分かってるさぁ、反省点は。)

「そおおぅ、じゃあ!ビデオカメラ片付けておいてねぇ。お父さん!」

(何で?私・・・・。)

「私、買物に行ってくらから。」

「はい!」(頷く。)

階段を駆け登る音がした。

そうだよ、初めての試合だったから疲れているからビデオを観るより体を休めたいよはずだねぇ。

お疲れさま!と二階を見あげて心の中で言葉を掛けて、カメラを片付け始める私がいた。

 

100メートル走

陸上競技者としてのスタート

スタートラインに続々と選手が集い始めた。

えぇ?!こんなにも大勢で走るのか?妻から預かったプログラムを手に取り確認すると男女それぞれ20数組に及んでいた。

政令都市となり学校数も多くなっているので当然の如く参加も増える分けだ。

私は、息子のいる組を確認する為にプログラムに目を向けた。

見つけた名前は、14組目だった。ここから競技者としてスタートするのかと思うと考え深いものを感じた。

数十分後、14組目の選手がスタートラインに列んだ。第8コースに彼の姿を見つけた。遠くからでも緊張している様子が伺われた。

んっ!いやいや、それよりも緊張している者がいたビデオカメラを手にした妻である。

いよいよスタートラインに手を置いた。

瞬く間にスターターの発砲と共に一斉に走り始める。

 

スタートダッシュは、やや遅れ気味(私と同じだぁ ^^;)中盤に盛り返して4着でゴールイン。走る姿は、まだぎこちなかったけれど無事に完走しただけで良いと思った私。

 

しかし手厳しい評論家が、戻って来た!ビデオ再生しながら「スタートが、ダメね。もっと早くしないと・・・・」云々

はぁ?自分が走るわけでも無いのに良く言えるなと思った私です。

「さぁ〜、車取りに行こう。」と評論家から離れ駐車場に向かった。

何着であろうと陸上競技者としてスタートを切った日であった。

自分と同じ陸上競技を選んでくれ何故か?スッキップを踏む感じで歩む自分を感じた。

 

ストーカーの始まり

通信陸上競技大会

朝から騒がしい妻がいた。

息子が、走る大会を見に行くそうだ。私に車を出せと言っている。

土曜日だからゆっくりしたいのだが、どうやら許して頂けない状況になってしまっている。

競技が、始まると急かす妻。

重い尻を持ち上げキーを手に握りしめた私。

 競技場に到着したが、既に駐車場は満杯。

妻を先に降ろし、私は他の駐車場へと車を走らせた。少し先に市の施設が有り幸いにも一台分のスペースを発見し車を停める事が、出来た。

歩いて競技場のスタンドを目指した。

携帯電話でやり取りをして妻が、待つ席を見つけて隣に腰を下ろした。場所は、コースのゴールラインの真ん前で多くの親御さん達が集っていた。

 

暫くして息子が、出場する100m走のスタートになった。すると妻は、ビデオカメラを手に持ちグランドの方へ向かって行った。

おいおいビデオを撮るんかい?随分と気合いが入っているなと思う私であった。

 

この瞬間から大会の度に息子の姿を求めるストーカーが、始まった。

 

 

 

 

スパイクを買いに

スポーツ店に向かう

 

陸上部への正式な入部が決まった。

活動に必要なスパイクを買いも求めに息子とスポーツ店に向かった。店内に入ると彼と同年輩と思われる少年・少女を見かけた。この子等もクラブ活動に必要な物を買い求めにきたのだろう。

陸上関係の商品は4階、エレベーターに向かう彼を呼び止めた。

『おい!もう身体作りを始めよう。階段で行くぞ!』

彼は、笑顔で私を見上げた。

そして共に階段を登って行った。

 

フロワーに着くとつかさず店員が、近寄って来た。私は、スパイクを求めに来た事を告げ商品選択のアドバイスをお願いした。

店員に促されスパイクの陳列されている棚に彼は向かって行った。本来は、一緒に行ってスパイクの選択に関わりたい思いもあったが、私が走っていた時からもう約30年も経っている当時と比べたら商品も良くなり選定の基準も変わって来ているので店員にお任せした。

閲覧用に置いてあった「月刊 陸上競技」を手に取り近くの椅子に座り待つ事にした。

 

さまざまなスパイクを試しながら店員と会話をしている彼を時々、眺めながらページを進めて行った。

約1時間ほどで一足のスパイクを持って彼が、やって来た。

『これに決めたのか?』

頷く彼。

『決めた理由は?』

返って来た答えは、一番安かったからとの事であった。


私は、彼を伴い陳列棚に向かった。

『本当に自分が、良いなと思ったスパイクはどれか正直に教えてくれる?』

彼は、気まずそうにあるスパイクを指さした。

『じゃ、それにしよう。』

戸惑いを見せた彼。

『陸上部で頑張るんだろう?ならば、自分が納得したスパイクを履いて欲しいんだ。』

手に持って来たスパイクを元に有った場所に戻しに行き戻って来た彼は、指さしたスパイクを手に取り満面の笑顔を私に向けた。

先の事は、どうなるか?分からない。(辞めてしまうかもしれない。)

しかし、この時点で彼の意気込みを確認してみたかった。

この後、サイズ合わせをして無事にスパイクを買い終え、店をあとにした。

 

妻から言われていた金額から数千円ほどオーバーしたが、彼が頑張ってくれる事で十分に取り戻せると思うバカな父親でした。